手入れが十分にできていない私有林の管理を、市町村が仲介役となって意欲ある林業事業者に委託できるようにした「森林経営管理法」が施行された。徳島県内でも今月、県南部の5市町が中心となって推進組織「とくしま南部地域森林管理システム推進協議会」を立ち上げた。

 森林管理の抜本的改革といわれる新法の施行で、森林や林業の姿はどう変わるのか。

 森林の適正管理が今以上に期待できるようになる半面、管理の中核にいきなり置かれる市町村にとっては、専門職員の不在などマンパワー不足が懸念される。関係者には体制整備を急いでもらいたい。

 この法律の核心は、私有林の所有権と経営権を分離できるようにしたところにある。

 これまでは個人の資産である私有林を、自治体が直接管理することはできなかった。ところが、木材価格の低迷などを背景に適切な管理が行われていない森林が増えてきたことで、森林管理の考え方が根本的に変わった。

 林野庁によると、手入れができていない森林を「意欲と能力のある林業経営者」に集積・集約化し、このうち経済的に成り立たない森林は市町村が管理する。新法の狙いは、林業を成長産業に育て、同時に森林資源を適切に管理していくことだ。

 県南地域の推進組織は本年度、域内の森林所有者に経営意思の有無などを問う意向調査を行うとしている。

 だが、課題は少なくない。

 林業事業者は利益が出やすい山ばかりを施業するのが一般的で、過剰な伐採地が出てこないとも限らない。林業を成長産業へと育てる取り組みは必要だが、まずは森林を健全な状態に保ち、公益的機能を発揮できる森づくりに軸足を置いてもらいたい。

 市町村の人材養成も急務である。

 森林所有者から管理の委託があれば、市町村は伐採や木材販売、造林などを行う「経営管理権」を取得し、それらを林業事業者に再委託する形を取る。再委託をしても、施業の点検・確認をするのは市町村の役割だ。事業者任せの乱伐を招かないよう、しっかりした森づくり計画を策定しなければならない。

 むろん、そこでは専門知識と経験が必要になる。一足飛びに人材育成ができないとすれば、そこは県や徳島森林づくり推進機構の専門職員らがしっかりバックアップしていくしかない。

 新たな森林管理の財源となるのは、森林環境税である。2023年度に終了する震災復興特別税を事実上衣替えし、24年度から個人住民税に1人当たり年間千円を上乗せする。課税が始まるまでは、国の借入金を充てる形で譲与税が市町村などに本年度から配分される。

 国民が広く負担をする制度だけに、着実に効果を上げていく必要があることは言うまでもない。税の使途に注がれる目も当然厳しくなろう。