「親不孝通り」と呼ばれる街は全国に結構ある。中でも有名なのは、福岡市天神地区だろう。名は体を表す好例でもあるのだ

 その名が付いたのは、近くの予備校に通う浪人生でにぎわった1970年代。彼らのたまり場だった喫茶店の店主が「親のすねをかじる親不孝者ばかり歩いている」と冗談で言ったことが由来とされる

 バブル期にはディスコ、ライブハウスができて若者が集った。一方、けんかや薬物使用が目立つようになり、警察が改名を要請。名称が非行を生むのか、と突っ込みたくもなろうが、2000年に同じ読みの「親富孝」に変更した

 字面がしっくりこなかったのかもしれない。若者の足は遠のいた。親不孝者と自覚しながら夢を追う若者を受け入れてきた街に戻そう―。そんな思いから住民らが一昨年、旧称を復活させた

 こちらの改名はどうなるか。総務省の有識者懇談会が「過疎」に代わる用語を検討する。豊かな自然に魅せられる人が増え、マイナスイメージの過疎は実態に合わないという

 確かに田園回帰の傾向はあるが、過疎は深刻さを増している。県内で過疎地域などに指定された15市町村の1691集落のうち、15年4月までの5年間に12集落が消滅し、今はさらに拡大していよう。美しい名称を付けても定着するだろうか。元の名で、とはならないか。