2度目の合区選挙となった参院選「徳島・高知」選挙区(改選数1)は、自民党現職の高野光二郎氏が、野党統一候補で無所属新人の松本顕治氏らを破り再選を果たした。比例の特定枠で処遇され、高野氏の支援に回った自民現職の三木亨氏も再選された。

 高野氏は徳島県内の個人演説会で、南海トラフ巨大地震対策、高速道の延伸、中山間地の農業振興に意欲を示した。いずれも両県に共通する課題である。高野、三木両氏は両県の民意の重さを自覚し、しっかりと国政に反映してもらいたい。

 残念だったのは、徳島の投票率がまた低下したことだ。過去最低の38・59%に沈み、都道府県別では全国最下位となった。これほどの棄権は民主主義の危機と言える。

 高野、松本両氏とも地元が高知のため、県内の有権者になじみが薄かったのは確かだ。合区の弊害にほかならない。ただ、選挙が盛り上がらなかったのは、県内野党の低迷が大きく影響したのではないか。

 平成以降の県内の参院選を見ると、自民政権時に野党が勝利した際の投票率は、1989年が65・59%、98年は56・91%、2007年は58・47%と高い。

 これは無党派層が動いた結果だ。支持層の厚い自民候補を相手に、野党候補が勝機を見いだすには、浮動票を取り込む必要があることを示している。

 選挙戦では、高野氏が地域の課題解決を主に訴えたのに対し、松本氏は消費税増税の中止、年金などの社会保障制度改革を主張の中心に据え、毎日約20カ所で街頭演説を行った。

 徳島新聞の世論調査で、「最も関心のある政策」は「医療、介護、年金、福祉など社会保障」が46・1%と最多だった。しかし、県内では支持が広がらず、松本氏は高野氏に3万票余りの差をつけられた。野党共闘が十分に機能しなかった証しだろう。

 共産党に党籍がある松本氏は無所属で出馬し、「野党共同」をアピールした。だが、立憲民主党と国民民主党の支援組織である連合徳島は推薦を見送り、自主投票とした。松本氏の個人演説会には、県内の共産以外の党幹部はほとんど姿を見せなかった。

 低投票率は高野氏にプラスに働いた。本人が徳島入りした7日間に個人演説会を開き、自民、公明両党の地方議員や支援団体を動員するなど支持固めに重点を置いた。浮動票の掘り起こしに苦心する松本氏を、自民の組織力で引き離した格好だ。

 13年の参院選以降、県内の衆参議席を自民が独占。野党の退潮と軌を一にするように衆院選小選挙区、参院選の投票率は50%を割り、下がり続けている。

 健全な野党がなければ、健全な民主主義は育たない。県民の期待を担い得る野党が求められる。