人類が初めて月に到達し、今月で50年になる。1969年、この年、東大安田講堂事件。全国の大学には学生運動の嵐が吹き荒れていた。世はまさに政治の季節だった。前年、第8回参院選の投票率は68・94%

 課題は様変わりしても、危機はいっそう深刻になっている、はずなのに。きのう投開票が行われた第25回参院選。投票率は振るわず、徳島は38・59%と過去最低となった。理由の第一は合区ということになろう

 それだけではない。自分の考えを代弁してくれる党や候補が見当たらず、漂流した票も多かったようだ。憲法に年金、消費税と争点は多く、第2次安倍政権発足からの6年半に、審判を下す機会だったにもかかわらず

 既成政党に不満を持つ層の、一定の受け皿となったのは今回、政治団体「れいわ新選組」だった。出口調査では、国民民主党などをしのぐ勢いを見せた

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の船後靖彦氏を特定枠で擁立するなど、話題が先行したものの、既成の政治からこぼれ落ちた小さな声をすくい上げようとする姿勢が、有権者の心をつかんだ。その結果の議席ではないか

 1人の患者にとっては小さな1歩だが、日の当たらなかった人たちにとっては大きな飛躍となるように。難病患者が参議院に吹き込む新しい風に、期待する人は少なくないだろう。