東京五輪のシンボルとなる新国立競技場は、建設作業が9割近くまで完了し、仕上げ段階に入った。開幕まで24日で1年。万全の準備をして、日本で56年ぶりに開かれる夏季五輪を成功させたい。

 東京大会では33競技、339種目が行われる。いずれも五輪史上最多となる。開催都市の提案種目として野球・ソフトボール、空手、サーフィン、スケートボードが加わり、膨れ上がった。

 提案種目は世界規模で見ると競技者が限られるが、野球・ソフトボール、空手は日本で人気があり、上位進出が期待される。サーフィンは徳島にも愛好者が多く、身近な種目と言えるだろう。

 選手数は最大1万1090人に上る。観客やメディア関係者らも世界各地から東京に詰め掛ける。日本を世界に知ってもらう絶好の機会を生かさなければならない。

 注目されるのは開会式の演出である。前回のリオデジャネイロ五輪の閉会式では、安倍晋三首相がゲームキャラクターに扮して土管から登場するパフォーマンスを披露した。今回も日本が世界に誇るアニメのほか、歌舞伎など伝統文化を織り込んだ演出が想定され、興味深い。

 東京大会は東日本大震災からの「復興五輪」を掲げている。巨額の費用をかけて開く五輪には批判もある。復興が道半ばであることを肝に銘じ、多くの人が被災地に目を向けるための仕掛けが必要である。

 期間中、大勢の観客が公共交通機関を利用して移動するため、朝夕の通勤時間帯は大混雑するだろう。一部の企業は自宅で仕事をするテレワークを導入する方針を打ち出した。新しい働き方が、五輪を契機に広がるかどうか、注目される。

 東京らしい仕掛けや新たな試みに期待が膨らむ一方、現時点ではいまひとつ盛り上がりに欠ける。特に地方ではそんな印象が強い。

 徳島で県民が直接関わるイベントの一つ、聖火リレーを見ると、その理由が分かる。

 聖火リレーは来年4月16、17日の2日間、県内の全24市町村を巡る。順番は明らかになったが、具体的な走行ルートは、県実行委員会の案を基に大会組織委員会が決め、年末ごろに発表される。

 大会組織委が徳島のリレーの見どころとして紹介しているのは、多くのひな人形が飾られている勝浦町の人形文化交流館や吉野川に架かる橋など一部だけである。

 県実行委での議論は非公開で行われ、詳細な情報が事前に漏れないよう、固く閉ざされている。見どころと言っても多くの県民が知っている場所であり、出し惜しみするものではないはずだ。

 大会組織委が情報を一元管理し、発表する手法に問題があるのではないか。各県の聖火ルートやランナーの決定・発表は都道府県に委ねるべきだろう。情報公開に後ろ向きでは、機運は高まらない。