A群溶血性連鎖球菌(溶連菌)は咽頭炎や扁桃炎の原因菌として、また夏に多く流行する細菌として知られています。今月は溶連菌感染症について考えてみました。

 小児の細菌性咽頭炎や扁桃炎の原因の多くが溶連菌です。小児に多い感染症ですが、成人にも見られます。3歳以上の小児に多く、3歳未満の乳幼児には稀で、学童初期に最も多く見られます。溶連菌感染症は冬と春から初夏にかけて流行します。また膿痂疹(とびひ)など皮膚感染症の原因にもなります。

 咽頭炎は唾液や鼻汁を介した飛沫感染します。膿痂疹など皮膚病変からは接触感染します。潜伏期間は2~5日です。

 溶連菌感染症は急激な咽頭痛で始まり倦怠感や38℃以上の発熱、頭痛を訴えます。嘔気や嘔吐、腹痛を伴うこともあり、咽頭や扁桃は特徴的な発赤・腫脹から溶連菌感染を疑うことは難しいことではありません。頸部リンパ節腫脹もありますが、咳などの感冒症状が見られることはありません。

 溶連菌には菌体内毒素や菌体外毒素を含みます。中でも発疹毒素は溶連菌感染症に特徴的な発疹を示すことがあり診断の助けになります。発疹は手足の先や腋窩、鼠径部などから全身に広がり、点状の小紅斑から次第に癒合して全身の紅斑となり、口の周りだけ蒼白な状態になることが特徴です。高熱に全身の発疹を伴うものを猩紅熱と呼びます。発疹は後に落屑して糠状になります。

 最近は抗菌剤の発達によってこのような典型的な猩紅熱を見ることはありません。溶連菌感染症には適切な抗菌剤を十分な期間投与することが大切です。