田上さん親子が2016年に発見した恐竜の歯の化石。企画展で展示されている

田上さん親子が見つけたワニの背骨の化石

発掘した化石を手にする田上さん=2018年2月、勝浦町

田上さんが化石採集にのめり込むきっかけになったカニの化石

企画展を訪れ「肉食恐竜の化石を自分の手で発見したい」と意気込む田上さん=県立博物館

 徳島市の県立博物館で9月8日まで開かれている企画展「とくしまの恐竜時代」では、阿南光高2年の田上竜熙さん(17)が発掘した恐竜化石なども展示されており、注目を集める。2016年に勝浦町の白亜紀前期の地層から田上さんが発見した恐竜の歯の化石は国内最古級とされ、大きく報道されたことは記憶に新しい。今も高校生活の合間を縫うように発掘に打ち込む田上さんに、化石採集への思いを聞いた。

 

 「きっと恐竜だ」

 3年前の7月、勝浦川支流沿いで父親の浩久さんと一緒に植物化石を採集していた時、普段とは異なる輝きの化石を見つけた。その時の胸の高鳴りは、今も忘れない。

 植物の化石のようにも見えたが、過去に博物館で見た恐竜化石に似ていたため、田上さんの期待は膨らんだ。半信半疑の父親を説得して県立博物館に相談すると、予想は的中していた。約1億3千万年前の地層からの発見。草食恐竜ティタノサウルス形類の歯の化石だった。「感極まった。こんな大きな発見ができるんだと驚いたし、いよいよやめられなくなった」と振り返る。

 幼い頃から「海はどれくらい深いんだろう」「空はどこまで続いているんだろう」と、自然への興味や疑問が尽きなかった。化石の採集に取り組むようになったのは小学校時代。磯遊びが趣味だった父親と一緒に、海岸に打ち上げられた漂着物を採集する「ビーチコーミング」に熱中していたのがきっかけだ。

 波に洗われて割れたガラスの角が取れた「シーグラス」や外国から流れ着いた雑貨の残骸などを集めるのに夢中になった。

 ある日、阿南市の海岸で少し様子の違う丸い石を見つけた。「何かが隠れているかもしれない」と直感し、持ち帰ってハンマーで割ってみると、カニの化石が現れた。新生代の物だった。「言葉にできないくらい驚いた」というほどの興奮で、田上さん親子の興味は、一気に化石へと移っていった。

 県化石同好会の会員に教えてもらい、毎週末、親子で勝浦町の山中に入り、化石を含む岩を見つけては採取するようになった。平日はその岩をひたすら割っていく日々。見たことのない種類の化石はもちろん、同じ種類でもより完全な形の物、より美しい物を求めてのめり込んだ。

 「スケールの大きなタイムカプセルみたいで面白い。古代からのメッセージを感じて想像力をかき立てられる」と化石の魅力を語る。

 とはいえ、田上さんのように高校生で化石に興味を持つ人は少ない。「学校では、化石の美しさや発見した時の興奮を共有できない。同世代の人と一緒に取り組めればもっと楽しくなるんだけど」と残念がる。

 昨年は恐竜化石が多数含まれるとされる地層「ボーンベッド」も、勝浦町で発見された。田上さん親子はその周辺で中四国で初めてとなるワニの背骨の化石を発見。企画展では、恐竜の歯の化石と共に展示されている。

 最近は高校生活が忙しくなり、以前のように毎週山に入ることは難しくなったとはいえ、夢は大きく持ち続けている。「やっぱり恐竜といえばティラノサウルスに代表される肉食恐竜。その化石が出てくればもっと徳島が盛り上がるだろうし、ぜひ自分の手で発掘したい」と意欲を見せた。