完成した蒅をわら袋に詰める藍師。上板町は県内一の蒅生産量を誇り、藍文化の中心地だ=2016年12月、同町下六條

 藍住町や石井町など徳島県内8市町が2日、阿波藍の栽培技術や文化財などを「日本遺産」に申請したが、県内一の蒅(すくも)の産地として知られる上板町が含まれていない。町長と職員間の連絡調整が不十分で、趣旨が十分に理解されていなかったためとみられている。県内きっての「藍どころ」といえる上板の不参加に疑問の声は大きく、今回認定された場合、町は来年度の追加申請を検討する。

 上板町には藍染の染料となる蒅を生産する藍師の家が2軒あり、県内の蒅の7~8割を生産している。国重要文化財の藍屋敷「戸田家住宅」など、阿波藍の歴史を語る上で欠かせない文化財は多い。

 町などによると、阿波藍の申請に関する各市町の担当者の話し合いは昨年夏に始まり、当初は上板町職員も参加していた。しかし、秋に報告を受けた七条明町長が申請に参加するかどうかの方針決定を保留したため、その後、町の担当職員は参加しなかった。

 町長は当時の状況について「観光を目的とする日本遺産の理念を理解できていなかった。(参加するかどうかを)よく考えようということだった」と述べた。

 この間、他の8市町は申請の準備を進めた。本年度の申請期限の2月2日を前に、取りまとめ役の藍住町が1月下旬、参加意思を最終確認する文書を上板町に送付。この文書で他の8市町が申請することを初めて知ったという七条町長は「昨年秋には聞いていなかった。間に合うなら申請した方が良かったが、間に合わなかった」と釈明する。

 町は、東京五輪公式エンブレムに藍色が選ばれたことを受け、藍産業の振興を図る「ジャパンブループロジェクト」を推進している。日本遺産申請への不参加は逆行する対応といえ、町内の藍師の1人は「なぜ上板が参加していない状態で話が進んでしまったのか」と疑問を投げ掛ける。町議会でも「単独で藍の振興を図るより、広域で協力したほうが効果的なのに」といった批判が目立っている。

 阿波藍の日本遺産申請 吉野川流域の藍住、石井、徳島、北島、板野、阿波、吉野川、美馬の8市町が、製造技術や藍屋敷、古文書など35の文化財を選定し、申請した。日本遺産は、文化庁が2015年度に始め、16年度までの2年間に150件の申請があり、37件が認定されている。今回の申請に対する結果は4月に発表されるとみられる。認定されれば、ロゴマークを観光PRに使えるほか、マップの作成などに補助金が使える。