藍染染織家 西千晶さん(35)

 藍染染織家の西千晶さん(35)=阿南市大潟町=は藍がめで糸を染め、機織り機で布に織って作品に仕上げる。そんな仕事を2015年ごろから続けている。よく作るのは日常生活で使うストールや敷物、コースター。残った布はトートバッグの飾りに使う。

 糸は四国大の藍染専門施設「藍の家」に定期的に通って自分の手で染める。色は一色ではなく、濃淡合わせ数種類準備する。

 デザインが浮かぶと「ワンルーム機小屋(はたごや)」と名付けた自宅兼工房にある機織り機に糸をセット。しかし、これには大変な労力が必要だ。ストールを作るなら、縦糸を掛けるのに1週間かかる。さらに最低1週間座って織り上げる。

 染めでも織りでも、刻々と表情を変える糸がまるで生き物に見えて楽しいという。「落ち着いた藍の色合いは単なる色でない。色を超えた存在感がある」

 制作中に時々、思い出すのは、沖縄県石垣島で八重山上布を伝える女性作家の笑顔と言葉。「ものづくりは土地に根差した素材を生かしてほしい。徳島なら藍染がある」

 多摩美術大でデザイン理論や染織技術を学び、作家に憧れ「何を作るべきか」と迷っていた20代後半、離島で活動する染織家の言葉が、阿波藍の良さに気付かせてくれた。

自分で染めた糸で機織りし、藍の布を作る西千晶さん

 全ての作品に真心を込めているが、それだけでは足りない。気になるのは「藍の奥深さを表す陰影が出ているか」「肌触りがいいかどうか」。その良さは、糸と糸との絶妙な隙間や、糸の張り具合から生まれるという。「布が立体物である事実を忘れず、ミクロの世界に思いをはせることが肝心」

 藍の命を宿した作品は個展やワークショップで発表。「長く大切に使ってもらってね」と呼び掛けながら送り出す。