シャツ職人 島本淳一さん(34)

「単純にかわいいから、かっこいいから着たいと思える服を藍染で作りたい」。シャツ職人の島本淳一さん(34)=徳島市末広1=はそう話す。

 城南高校を卒業後、大阪成蹊大で服飾のデザインを学んだ。卒業後は大阪のアパレル会社で働きながら夜間に服飾専門学校に通って、さらに勉強した。

 26歳で徳島に戻り、縫製工場や服の修理店で手縫いやミシン縫いの技術を習得した後、独立して服のアトリエ兼店舗「TRIANGLE(トライアングル)」を構えた。現在はシャツを専門に扱っている。

 藍染に出合ったのは2017年。トヨタ自動車と「レクサス」の全国販売店によるものづくり人材育成事業で、次世代を担う若手職人「匠(たくみ)」に選ばれたことがきっかけだった。

 徳島の地域性を生かせる材料を求めて藍にたどり着き、藍染工房「ルアフ」(徳島市吉野本町)に通い詰めて教わりながら染色を学んだ。

 その時発表した作品は、コットンの糸でジャカード織りを施したこだわりの生地から作った藍染のワンピースだ。

コットンの糸でジャカード織りを施したこだわりの生地から作った藍染のワンピース

 けれど、その後も藍染と向き合うにつれ「自分は藍染作家ではない。洋服職人の自分にしか作れないもの、本当におしゃれなものを藍で作りたい」との思いが募った。自身はデザインや仕立てに専念し、染めの工程は基本的に藍染職人に依頼することにした。

 徳島市八万町の実家兼作業場で、ミシンやアイロンに囲まれながら、はさみとメジャーを手に日々藍染布と格闘する。

 そうして作り出した服にはこだわりが詰まる。色落ちしても風合いを生かしてかっこよく着られるようにわざとビンテージ感を出したシャツ、藍染でグラデーションを付けた水玉模様のアロハシャツ、草木染と藍染をミックスしたくすんだ色合いのリネンシャツ–。「ここにしかないもの」を生み出す。

 藍の専門家でないからこそ見つけられる藍の魅力があるはずだと考えている。「簡単で大量に作れる化学繊維が主流な中、あえて手間もお金もかけて出す美しさがある。僕ならではの視点で藍を発信したい」。

藍染でグラデーションを付けた水玉模様のアロハシャツ(左)と草木染と藍染をミックスしたリネンシャツ(右)