小松島市と阿南市の一部を所管するJA東とくしまが2016年度中に、小松島市坂野地区の中核的な生産者と農業生産法人を設立する。耕作放棄地の増加や米価低迷が課題となる中、放棄地を集約して効率的な米作りを進める。

 農業生産法人は「坂野ライスファーム株式会社」。参加する生産者は坂野町でトマトや米などを手掛ける農業生産法人「樫山農園」の樫山直樹専務(38)ら若手中心の5人で、東とくしまは職員1人を派遣する。理事長には樫山専務が就く予定。

 主に米を栽培し、東とくしまが販売する。県農地中間管理機構を活用するなどして坂野地区の耕作放棄地を集積。水稲の作付面積を現時点の5人の計150ヘクタールから200ヘクタールに増やすことを当面の目標とし、大規模な稲作経営を展開する。米の乾燥・調整を行うライスセンターも整備する。

 酒米など付加価値の高い米も栽培し将来的には野菜を手掛ける。

 農林業センサスによると、県内の耕作放棄地は10年の4464ヘクタールから15年は4577ヘクタールと増加傾向にある。米の価格は消費低迷で下落傾向にあり、価格維持のため行っていた生産調整も18年度に廃止される。

 米を効率的に生産し、より高値で販売するため、農業生産法人を設立することに決めた。那賀川町など管内の他地区でも検討している。

 東とくしまの荒井義之組合長は「耕作放棄地は今後も増えるだろう。これをライスファームが引き受けて飛び地をなくし、坂野地区の農地を一つの農場と捉えて、効率的な農業経営を進めていきたい」と話している。