産卵した場所を指す田中学芸員=美波町日和佐浦の日和佐うみがめ博物館カレッタ

 美波町日和佐浦の日和佐うみがめ博物館カレッタが、アカウミガメの人工産卵に初めて成功したことが3日分かった。飼育している雄の「浜太郎」に人工の爪を装着したところ、雌の「ゆりえ」との交尾に成功、約70個の卵を人工の砂浜に産んだ。

 カレッタで唯一の雄の浜太郎は、四肢の爪が水槽のコンクリートですり減って雌の甲羅を引っ掛けられず、これまで交尾ができなかった。今年から強化プラスチック製の爪を装着し、5月19日に40分間交尾した。

 ゆりえは検査で卵を持っているのが確認されたものの、産卵時期になっても卵を産む穴を掘らなかった。職員が穴を掘ると、7月28日午後9時から約3時間かけて産卵した。

 卵はカレッタの人工孵化場に移した。かえるのは2カ月後。卵はいびつな形のものが多く、無精卵の可能性もあり、かえるかどうかは微妙という。

 浜太郎は旧日和佐町でウミガメの調査が始まった1950年の生まれで、記録がある中では世界最高齢。ゆりえは年齢が不明で、30年ほど前からカレッタで飼育している写真が残っている。

 カレッタは人工産卵の設備を備えて1985年8月に開館。34年目で成功した。

 日本ウミガメ協議会の松沢慶将会長は「人工産卵は全国的に珍しくはないが、人工爪の取り組みは評価できる」。同館の田中宇輝学芸員は「やっと念願を達成できた。2カ月後が楽しみ」と語った。