吉野川第十堰(ぜき)のほど近く、徳島市国府町の堤防道路を下りて田畑が広がる道を進むと、オレンジ屋根の工場が現れる。唐木仏壇を製造、販売しする山口木工。最近では、寄せ木細工を施した遊山箱や箸(はし)などの小物でも知られる。

 

 寄せ木の小物に使うのは、紫檀(したん)や黒檀(こくたん)などの唐木と桑や欅(けやき)などの銘木。膨張による型崩れを防ぐため、使うのは10~20年以上自然乾燥させた木だけを使う。最大8種類を組み合わせて1枚の板にし、100分の1ミリ単位で測りって同じ幅に切断し、接合する。この工程を繰り返し、市松、波、モザイクといった模様を表現する。

 

 工程で最も神経を使うのは、骨組みを取り付けていく作業。ここでは骨組みの厚さや扱う接着材の量に細心の注意を払う。性質が異なる木材を1枚に仕上げる作業には熟練の技が要る。

 

 同じように難しいのが切断するときに使う型づくり。例えば箸では、四角や八角など形により型を作る。型が製品のできを決めるので改良に改良を重ねる。一つの商品で工程ごとに数個を作る。「図面通りの品に、なかなかならず、納得いくものができなくて苦労する」

 その型を元に木を削って成型する。唐木は堅いので、力を抜くと刃で弾かれる。作業は30分から1時間が限度。休憩を取りながら集中力と体力を保っているという。一つの製品ができるまで長い時間がかかる。

 

 「寄せ木細工には仏壇製造で培った技術が詰まっている」と言うのは代表の山口友市さん(62)。妻のトキ子さん(60)と2人で作っている。

 創業は1985年。16歳で徳島市の仏壇製造会社へ入り、別の会社を経て29歳のときに独立した。しかし、仏壇市場は需要の低迷や安価な外国製品との価格競争が激化したことで出荷額が激減。収入を増やそうと、2007年に寄せ木細工を始め、主力商品に育てた。

 

 寄せ木細工に続く新たな物づくりにも意欲を燃やす。「難しい物に挑戦するのが楽しい」という友市さん。「次は金属とのコラボレーションができれば。小さいねじやバネなどがあれば、面白い物ができる」と目を輝かせた。