「ずっと真夜中でいいのに。」の「夏休みLIVE 〜水飲み場にて笑みの契約〜」ライブグッズ

 人気急上昇中のアーティスト「ずっと真夜中でいいのに。」(ずとまよ)が5日に東京・台場のZepp DiverCityで開いた「夏休みLIVE 〜水飲み場にて笑みの契約〜」初日公演を鑑賞してきました。洗練された楽曲の魅力は理解していたつもりでしたが、ボーカルACAね(あかね)さんのどこか不思議で温かい空気感と圧倒的な歌唱力に直接触れることができて、大げさな表現かもしれませんが、歴史が動く瞬間に立ち会えたような感慨を覚えました。
(記事中にあるMVのリンクは徳島新聞WEB版でしか表示されません。)

 記者がずとまよにハマったのは今年1月。徳島県出身のシンガー・ソングライター米津玄師さんの記事を書くために調べ物をしていて、ウェブで特集記事を目にしたのがきっかけでした。早速、音楽サイトで視聴してみると、たちまちACAねさんの「エモい」歌声とスタイリッシュな楽曲のとりこに。すぐにでもライブに行きたかったのですが、同月に行われた1stライブのチケット販売には乗り遅れ、4月の東名阪ツアーは落選。7カ月越しでの悲願の初対面となりました。

 ずとまよをご存じない方のために説明しておきますと、ボーカルのACAねさんが作詞作曲を手掛けていること以外、ソロなのかグループなのかも含めてほとんどが謎です。ACAねさんはライブ以外で顔出しはせず、ユーチューブでアニメ映像に合わせたミュージックビデオ(MV)を通じて楽曲を発表しています。米津さんとも共通するこうした手法は、ずとまよ以外にもヨルシカ、三月のパンタシア、美波さんなどにも見られ、近年の一つの主流になっています。

 

 この手法を取ることでメッセージが伝わりやすくなる…、などなど専門家の分析はあるようですが、記者は音楽サイトで購入した楽曲を聴いているので、実はMVをきちんと見たことはありません(すみません…。)。時に難解すぎるほど文学的で、孤独やもどかしさを赤裸々につづった歌詞と、さまざまな音楽的要素を取り入れつつ新鮮な驚きを感じさせてくれる楽曲とハイセンスなアレンジ、そして何よりもACAねさんのハイトーンで甘い歌声が好きなんです…。

 ちなみに記者が一番好きな楽曲は「ゲスの極み乙女。」の川谷絵音さんもイチ推しだという「君がいて水になる」です。ジャズの要素を感じさせる楽曲で、メロディとACAねさんの高音域がとにかく切ないんです。ただ、この曲にはMVがありませんので、ずとまよを知らない方に手軽に魅力を知ってもらえる楽曲として、デビュー曲の「秒針を噛む」、サビで感情が爆発する「脳裏上のクラッカー」、R&B調で切ない「眩しいDNAだけ」を挙げておきますね。

 前置きが長くなりましたが、肝心のライブについてはイチ観客として参加しただけですのでネタバレは極力避けたいと思います。ただ、配信やCDで聴く以上に生のACAねさんの歌声はパワフルで、体内からあふれ出すようなグルーヴ感には日本人離れしたものを感じました。特にソファに座って足をブラブラさせながら難しい楽曲を歌い上げる場面では、MCの時のはかなげな印象とは一転して、小柄な体から圧倒的な存在感が放たれていました。

 

 異論を承知で言わせていただくと、記者は宇多田ヒカルさんが登場した時のような時代を象徴する圧倒的センスを持つアーティストが登場したと感じました。会場を埋めた約2000人の若いファンも同じような高揚感に包まれていたように思います。2日目の6日には、10月30日に新曲7曲を含む13曲を収録した初のフルアルバム「潜潜話」のリリースが発表されたそうです。恐らく発売のタイミングで、ずとまよはより多くの人に知られるアーティストになるのでしょう。

 ずとまよに「Dear.Mr.F」という曲がありまして、既に発売されている音源には収録されておらず、現時点ではライブのみで披露されている楽曲なのですが、ものすごく切ないラブソングで、聴いた人たちからは「号泣した」といった感想が相次いでいます。記者も今回のライブで初めて聴いて鳥肌が立って、オジサンなのにチョイ泣きしてしまいました。「潜潜話」に収録してほしいなぁ…、そうすればさらに話題になるのになぁ…、と密かに願っております。

 

 余談ですが、会場で実際に拝見するまでACAねさんが実在するのかどうかさえ確証がありませんでしたので、ライブ開始前にACAねさんの楽器をチェックしていた体格の良い男性(キーボードの男性でしたよね? お名前を失念してすみません)を見て、「ひょっとしてこの男性がACAねさんなんじゃないか? 急に女性の声で歌いだすんじゃないか?」とドキドキしながら見守っていたのですが、ACAねさんはちゃんと実在する、かわいらしい女性でした。

 今まさに大きな世界へと羽ばたこうとしている勢いを感じさせるずとまよ。メジャーになってほしいけど、知る人ぞ知る存在であってほしい…、ファンは今、そんな複雑な心境かもしれませんね(記者はそうです。)。既にライブチケットは入手困難になっていますが、今まさに波に乗っているアーティストの実力、そしてこの瞬間にしか感じられない熱気を感じることができると思いますので、チャンスがある方はぜひ足を運んでいただきたいと思います。(R)