徳島市川内町で特注や住設家具などを製造・販売する。近年、住設家具の需要が減り、新たな取り組みに力を入れている。

 創業は1946年。同市出来島町に「本林木工所」として主に婚礼たんすを製造していた。52年に都市計画のため常三島町へ、65年には工場拡張のため現在地に移転し、69年に法人化した。

 現在、社員は16人。うち女性が4人で、家庭を持つ20~40代が活躍する。創業者の孫で社長の井上佐知子さんも職人、事務、社長の3役をこなす。「元々は母を手伝い事務をしていたが、現場を知らないと仕事ができないので製造もするようになった。日々違うことに直面し、いろいろなことができるので続けることができた」と話す。

 

 取材で工場を訪ねた日は、ホテルの冷蔵庫・レンジ台を作っていた。木で枠を組み両側に板を貼る「フラッシュ構造」の部材を使用。これだと軽くて狂いが少なく、大量生産できてコストもかからない。

 

 製造はチームを組み、いくつかの工程を流れ作業で行う。最初に木枠を組んで両側に板を貼り合わせる。突き板で化粧して成形し、塗装部門で着色やつや出しを行う。部品を組み合わせて商品に仕上げる。同社で働いて15年になる和田聡さん(45)は「一品物を作ることが多く、毎回違うことができるのが面白い。無垢材にはないフラッシュの良さもある」とPRする。

 
 

 新たな取り組みとして力を入れているのが自社ブランド開発だ。昨年商品化したトレーシステム「チルダ」は、波形が特徴のラック。機能性とデザイン性を両立させた。

 海外展開も模索していて、3年前からドイツやフランスの見本市に出展。契約には至っていないが、見積もりを頼まれたことがある。今年も9月に行われる上海へ出す予定で、「売り上げが減る中、動かないと何も始まらないので、海外出展は継続していきたい」と井上社長。ネックは輸送費の高さだという。ただ、見本市への出展により、国内で新たな契約が獲得できた。出展を続けたことが信用につながった。

 

 課題は若い人の定着。後継者育成にも力を入れており、国家資格取得を積極的に促している。就業後に、職人が技術指導することもある。井上社長は「徳島に根付く木工技術を後世に伝えていきたい」と話している。