トランプ米大統領が北朝鮮の金正(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と5月までに会談する意向を示した。
 
 米朝首脳会談が実現すれば史上初めてだ。北朝鮮の非核化と平和解決に踏み出す機会になれば、その意味は大きい。
 
 トランプ氏は韓国高官との会談で、受諾を表明した。5日の南北会談に出席した高官によると、金氏は非核化への意思を表明し、核・ミサイル実験の凍結を約束。トランプ氏との早期会談を要請した。
 
 受諾したトランプ氏は「金氏は核開発の凍結だけでなく非核化に言及した。大きな前進だ」とツイッターに投稿した。金氏の意向を、非核化のプロセスになり得ると判断したのだろう。
 
 大切なのは金氏の真意をよく見極めることである。北朝鮮は核放棄などの国際合意を何度もほごにしてきた。今回も、時間稼ぎの可能性は捨て切れない。
 
 安倍晋三首相はトランプ氏と電話会談し、北朝鮮が核・ミサイル開発の放棄へ具体的行動を取るまで最大限の圧力をかける考えで一致した。
 
 もちろん、北朝鮮が米朝会談を制裁緩和に利用するようなことを許してはならない。
 
 南北は、4月末に板門店で金氏と韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領の首脳会談を開催することでも合意している。
 
 だが、一連の動きを、検証可能な核放棄につなげるのは困難を極めよう。非核化の意思を示したとはいえ、金氏がどんな要求を持ち出すか、分からないからだ。
 
 北朝鮮のペースに乗らず、慎重に対処する必要がある。