人口減少時代を迎え、どの業界も厳しい環境にある。地方銀行も例外ではない。
超低金利の長期化による収益悪化の懸念が根強く、他行との競争も激化しているからだ。トモニホールディングス(HD)傘下の徳島銀行(徳島市)と大正銀行(大阪市)が、2019年秋までに合併する方向で検討に入ったのも、そんな先行きへの危機感の表れといえよう。
将来にわたって経営基盤を安定させるには、どうすればいいのか。合併は有力な選択肢の一つとなる。
両行は13日、トモニHDとともに合併準備委員会を設けて具体的な協議を始めた。合併を弾みに、引き続き地域の暮らしを支え、徳島経済を担う金融機関として、その存在感を発揮してもらいたい。
地銀の経営は、正念場を迎えている。17年3月期決算は、全国の5割超の地銀が融資などの本業で赤字を計上した。日銀の大規模な金融緩和策が続けば、経営はより苦しくなるだろう。
徳島銀の本業のもうけを示すコア業務純益は黒字を維持している。とはいえ、3月期決算ベースで15年は84億4千万円、16年は73億2千万円、17年は63億7900万円と減少している。
大正銀は、16年4月に傘下に入った。その地盤である関西地区は激しい競争にさらされている状況だ。今年4月には、近畿大阪銀行と関西アーバン銀行、みなと銀行が経営統合し、関西みらいフィナンシャルグループとなる。
今回の合併協議入りについて、徳島、大正両銀行の会長も務めるトモニHDの柿内愼市会長は「合併はコスト削減の効果が大きい。組織が一体化することで、大阪と徳島の企業の仲介機能をより果たせるようになる」と説明した。
一体化により、経費削減と融資拡大などを進め、活路を開く姿勢を示したのは当然といえる。
一定の資金力と中小企業融資を強みとする徳島銀と、住宅ローン融資を得意とする大正銀の合併が実現すれば、高い相乗効果が生まれるとの判断も働いたという。合併によるメリットを幅広く生かしていく方策も練ってほしい。
合併協議入りした背景には、香川銀行会長でトモニHDの遠山誠司社長が指摘する「徳島、香川は人口や企業の減少で、負の将来予測を立てざるを得ない」という事情もある。これは、どの地銀にも共通することだろう。有効な手だてを講じていかなければならない。
業界では、経営統合が活発化する一方で、連携する動きも広がっている。16年11月には、阿波銀行(徳島市)、百十四銀行(高松市)、伊予銀行(松山市)、四国銀行(高知市)の4行が、四国の地方創生に向けた包括協定を結んでいる。
合併や統合、連携で新たな金融サービスを提供し、地域経済に、より一層貢献する金融機関になってほしい。