公立小中学校のトイレの洋式化を巡り、徳島県内の自治体の取り組みに地域差が出ている。洋式便器の割合は、トップの美馬市70・3%と最下位の徳島市21・2%の差が約50ポイント。学校数が多い自治体は校舎の耐震化を優先させ、便器の改修まで予算が回らない傾向にある。学校は災害時に避難所としての役割が期待され、高齢者らはトイレの洋式化を求めており、各自治体は対策を急ぐ。

 文部科学省によると、昨年4月1日時点で県内の小中学校には計1万1114の便器があり、洋式は3584(32・2%)、和式は7530(67・8%)。全国平均は洋式43・3%、和式56・7%となっている。

 県立3中学校と24市町村の小中学校の洋式化率は《別表》の通り。美馬市に次いで佐那河内村が67・9%と高く、北島町の64・0%、阿波市の63・3%が続いた。美馬市は2012年度までに小中学校の校舎の耐震化を終え、13、14年度に便器の改修工事に取り掛かった。

 学校数が多い市部は便器も多く洋式化が進んでいない。8市のうち、徳島(便器数3986)、阿南(965)、鳴門(871)、吉野川(640)、小松島(388)の5市では洋式化率が県内平均を下回った。

 徳島市は校舎の耐震化を優先させており、17年度から便器の洋式化に力を入れる。担当者は「災害時には高齢者が使うこともあるので、これまで以上のペースで整備したい」と言う。

 今後の取り組みについては、徳島、小松島、三好、美波、板野の5市町が「洋式の割合を90%以上にする」とした一方、松茂、上板、東みよしの3町は「洋式と和式を半々にする」とした。

 松茂町の担当者は「学校以外の施設には和式が残っており、使い方を学んでもらうために和式を残す必要がある」と話している。