長屋の一室。ヘビだ、カエルだ、と怖いもの比べ。だらしがねえじゃねえか、と一人の男。なら、お前は怖いものがないのかい、と問い詰められて「まんじゅうが・・・」。顔色を変えて逃げ帰った
 
 じゃあ、脅かしてやろうと連中、悪巧み。それはいけない、「まんじゅうだけに、あん殺だよ」。そんな声は無視されて、なけなしの銭で買いそろえた甘い爆弾を、男の部屋に投げ込んだ
 
 落語の前座がよくやる「まんじゅうこわい」は、中国の笑い話に起源を持つ。さて、この男、怖い怖いと言いながら、投げ込まれたまんじゅうを、片っ端からむしゃむしゃ食べ始めた
 
 文在寅(ムンジェイン)大統領と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が来月末、板門店で会談することで南北が合意した、と韓国大統領府が発表した。国際社会の批判に抗し、核・ミサイル開発で暴走を続ける北朝鮮が変わり始めた兆し、と本来ならば大歓迎するところである
 
 しかし、素直には喜べない。何度も欺かれた過去がある。厳しい制裁に耐えきれず、軍事技術を確立するまでの時間稼ぎとの見方も濃厚だ。局面打開の対話となるか。半島の非核化や拉致問題の解決に近づくか。よほど慎重に構える必要があるだろう
 
 まんまとだまされた長屋の連中に「本当は何だ」と詰問された男。「このへんで濃いお茶が怖い」。そんな落ちならごめん被る。