屋根瓦の一部が落ちれば、その余勢で他の多くの瓦が崩れ落ちるように「一部の崩れから全体が崩れること」。手元の広辞苑は「瓦解(がかい)」の意味を、こう解説している
まさに、その過程を目撃しているような気分だ。森友学園に関する文書に書き換えがあったと、財務省がようやく認めた。昨年5月、原本から「本件の特殊性」といった記述を消して国会に出したのだという
佐川宣寿前国税庁長官の国会答弁との関係で誤解を招かないよう、理財局の一部が指示した。悪いのは役人―。そうしたシナリオで幕が引けると考えているのなら、甘くはないか
公文書の書き換えは犯罪に当たる。まして国会に提出する文書である。果たして、役所だけでそんな大それたことができるものなのか。仮にそうだとしても、麻生太郎財務相らの任命責任は免れまい
文書からは、安倍昭恵首相夫人や政治家の名前も消えていた。そもそもの発端は、夫人が名誉校長になっていた小学校の予定地として、国有地が安く売られたこと。新たな疑惑が次々浮かび、政府はその都度、釈明に追われた
加計(かけ)学園問題で官邸の関与を主張した文部科学省の前川喜平前事務次官は、佐川氏について「どうせ辞めるなら自由に発言したらいいのに」と促した。忖度(そんたく)で組織が瓦解する前に、「第2の前川」の登場が待たれる。