陰日なたなく、裏も表もなく、働く。天は見ているから、見ている人は必ずいるから。そう教え込まれたのに、怠け癖が顔を出す。それを諭す
 
 <みえない時間に、みえない場所で・・・>。このCMソングがテレビから流れてくると、つい聞き入ってしまう。<みえない誰かを想い、目立たず、知られず>。心身の衰えを感じ始めた、わが身を励ます。奇妙礼太郎さんの歌声が染みる
 
 三菱電機ビルテクノサービスのCMだ。エレベーターに乗っている時、動かし、点検する人を想像できる人は少なかろう。現場で働くエンジニアの姿を歌にした
 
 広報担当者が話す。「当社の社員ばかりでなく、人知れず働いている人全てに贈りたいと思います」。一昨年8月から流れているが、聞く人の心をつかむのか、反響の声は今も寄せられている
 
 来年春に卒業予定の大学3年生らに向けた、主要企業による会社説明会が解禁され、半月余りがたった。「仕事とは」「働くとは」に、改めて思いを巡らせながら、見えない縁を求めている人は多いだろう
 
 当たり前のように過ぎていく日常の中で、<みえない時間に、みえない場所で>働いている人はたくさんいる。誰もが、どこかで知らない誰かの役に立っているに違いない。誰もが誰かのおかげで生きられる。働くとは、誰かを生かすことかもしれない。