徳島市の阿波踊りに多額の累積赤字が生じている問題で、市が主催者の一つである市観光協会の破産手続き開始を徳島地裁に申し立てたことを巡り、2日の市議会産業交通委員会で委員から質問が相次いだ。市は申し立てを取り下げる考えがないことを強調し、今夏の阿波踊りの新たな運営体制を4月にも構築することを明らかにした。

 市観光課の担当者は、破産手続きを申し立てる前に、市観光協会の債権を金融機関から無償で譲り受けて債権者となったことを説明。これに対し、岡孝治委員(徳島活性会議)は「協会は借入金の返済を計画している。債権を取ってまで(協会を)つぶす理由はどこにあるのか」などと詰め寄った。岸本和代委員(公明)は「協会との信頼関係を著しく壊し、性急という感は否めない」などとした。

 豊井泰雄第2副市長は「市民の負担を増やさず、できるだけ軽減させるためにやむを得ず申し立てた。裁判所の元で協会から債権回収を図りたい」と述べた。

 岡田元成経済部長は、今夏の阿波踊り運営に向け、職員でつくるプロジェクトチーム(PT)を庁内に設けるとし「体制を早急に検討し、関係団体と成功に向けて協議を進めたい」などと話した。

 市は、協会が金融機関から借り入れた4億3600万円の損失補償をしているが、借入金は既に遅延損害金が発生している。破産開始が決定すれば協会は解散する。

 市観光協会「強い憤り」

 徳島市が破産手続き開始を地裁に申し立てたことについて、市観光協会は2日、「市は(累積赤字を調べた調査団の)報告書に基づき金融機関に債権譲渡させているが、報告書は結果ありきで納得できない。申し立ては誠に遺憾で、強い憤りを感じている」などとするコメントを出した。