住宅に旅行者らを有料で泊める「民泊」が6月に全面解禁されるのを前に、分譲マンションの所有者が対応を迫られている。マンション内での営業を禁止するには、15日の届け出開始までに管理組合で決議する必要があるため。民泊は空き室を活用できるなどのメリットがある一方、騒音やごみ出しを巡る近隣住民とのトラブルも起きており、専門家は「早めに是非を話し合って」と呼び掛けている。
民泊は現在、旅館業法の許可や国家戦略特区の認定が必要だが、6月15日の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行後は、所有者が都道府県に届け出れば年180日を上限に営業できるようになる。
徳島市南出来島町1のマンション「グラン藍場浜」(20戸)の管理組合は昨年12月の理事会で相談し、民泊禁止を決めた。「不特定多数の人が出入りするのは不安」「静かな生活環境を守りたい」といった意見が多かったという。佐藤晃雄理事長(52)は「地域活性化のためにも民泊の趣旨には賛同するが、分譲マンションにはなじまない」と話す。
国土交通省によると、民泊を禁止するには管理規約に明記する必要がある。だが、規約改正が間に合わなくても理事会や総会で禁止する方針を決議していれば、届け出は受理されない。
県マンション管理士会などによると、県内には約180棟(約1万戸)の分譲マンションがある。大半は管理会社が組合運営を支援しており、多くが民泊を禁止する方向で手続きを進めている。
一方、組合員が自主的に管理する一部のマンションでは、情報が十分に行き届いていない。市内のある管理組合の50代男性役員は「自分たちにも関係するとは知らなかった。投資目的で所有している家主もおり、トラブルが起きないか心配」と言う。
管理士会の秋田廣幸会長は「早急に理事会を開いて民泊のメリット、デメリットを確認し、容認か禁止か、意思を決めてほしい」と注意を促している。