国連食糧農業機関(FAO)は9日、徳島県西部2市2町の急傾斜地農法「にし阿波の傾斜地農耕システム」と、静岡県の「静岡水わさびの伝統栽培」を世界農業遺産に認定した。これで日本の世界農業遺産は11地域となり、中四国では初めて。8日からローマで開かれていた専門家会合で決定した。
傾斜地農耕システムは、斜度40度にも及ぶ急斜面の畑で作物を栽培する独自の農法で、美馬、三好、つるぎ、東みよしの各市町で雑穀や野菜を生産している。昨年3月、世界農業遺産の国内候補地に選ばれ、9月に農水省を通じてFAOに書類を提出していた。
2014年にも申請手続きを進めていたが、国内審査で申請が「留保」され、2回目の挑戦だった。
県西部2市2町などでつくる徳島剣山世界農業遺産推進協議会の兼西茂・つるぎ町長は「ありとあらゆる人の尽力が認定につながった。2市2町の財産として責任を背負いながら、維持、管理という課題に向き合いたい」と話した。
世界農業遺産は、伝統的な農林水産業や文化、景観、生物多様性などの観点から重要と判断した地域を認定。18年2月15日時点で19カ国47地域が認定されている。