三好市山城町の社会福祉法人・山城会の多額着服事件で、電子計算機使用詐欺の罪に問われた山城会元事務部長平田尚嗣被告(58)=同町上名=の判決公判が9日、徳島地裁美馬支部であり、田中一孝裁判官は懲役2年(求刑同3年)を言い渡した。

 判決理由で田中裁判官は「経理事務を統括する立場を利用した悪質な犯行。被害額は合計852万5973円と多額で、常習性が認められる」と指摘。平田被告が550万円を被害弁償したことを考慮しながらも「書類を破棄して証拠隠滅を図っており、刑事責任は重い。相応の期間の実刑が相当」とした。

 判決によると、平田被告は2013年12月~15年9月にかけて計26回、インターネットを介した銀行決済システムを不正に操作。山城会の預金口座から、自身の貯金口座に計852万5973円を振り込んだ。

 判決後、平田被告の弁護人は「本人と話して、控訴するかどうか検討する」と答えた。

 山城会では、平田被告による不適切な会計処理を巡り、資産が約1億2千万円減っている。森岡智也施設長は「刑事罰の時効になった被害もある。今後は民事裁判で弁償を求めていく」と話した。