10日午前11時半ごろ、阿南市加茂町竜山の太龍寺ロープウェイ山頂駅付近で、設備の点検作業をしていた小松島市の男性会社員(37)が大けがを負い、搬送先の病院で亡くなった。死因は腰の骨折などによる失血死。運行中のロープウエー2台が停止し、乗客・乗務員計8人が約50分間、ゴンドラに閉じ込められた。乗客らにけがはなかった。
男性は、ロープウエー運営会社の従業員。阿南署などによると、午前11時50分ごろ、四国霊場22番札所・太龍寺の関係者から「ロープウエーの点検をしていた男性が倒れている」と119番があった。救急隊が駆け付けたところ、山頂駅近くで男性があおむけで倒れていた。ドクターヘリで徳島市内の病院に搬送されたが、午後11時3分に死亡した。
運営会社などによると、男性は午前9時すぎから、駅の東隣にあるケーブルを稼働させる施設内で、滑車の保守点検をしていた。午前11時25分ごろ、山頂駅の従業員が施設の方から叫び声を聞き、駆け付けたところ、男性が倒れていたという。阿南署は労災死亡事故と見て、原因を調べている。
同20分発の上り便、下り便が運行中だったため、従業員が運転室に連絡し、安全確保のため同27分に停止させた。運転を再開するまでの約50分間、それぞれ乗客3人と乗務員1人が閉じ込められた。同社は「原因の究明を行い、再発防止に努めたい」とコメントした。
太龍寺ロープウェイは、那賀町和食郷の鷲の里駅と太龍寺近くの山頂駅を結んでおり、全長2775メートル。