東日本大震災から7年の節目を迎えた11日、徳島県内各地では南海トラフ巨大地震に備えた啓発行事などが行われ、参加者は防災、減災への思いを新たにした。福島第1原発事故を教訓に、原発の廃絶を訴える労組や市民団体の街宣活動などもあり、「3・11」を風化させまいとの誓いを胸に刻んでいた。
被災時のトイレ問題と事前復興をテーマにした防災シンポジウム(徳島県など主催)が11日、北島町の県立防災センターであった。県内の自主防災組織の関係者ら200人が参加し、専門家の講演などを通じ、南海トラフ巨大地震などに対する「備え」の重要性を再確認していた。
NPO法人・日本トイレ研究所(東京)の加藤篤代表理事は、東日本大震災では仮設トイレが避難所に届くのに1カ月以上かかった例があったことや、被災者は発災後9時間以内に9割近くがトイレを必要とするとの調査事例を報告。「避難所の周囲で大勢が用を足すと、衛生害虫や排せつ物自体からの病原菌が蔓延(まんえん)し、感染症が多発する。食料や水だけではなく、家庭で簡易トイレも備えてほしい」と呼び掛けた。
事前復興については明治大大学院の中林一樹特任教授(都市防災学)が講演。大震災の津波は住宅だけではなく工場などの職場も流した結果、若者が仕事の多い地域に流出し、宮城県女川町では4年半で人口が4割近く減ったことを紹介した。
事前復興の最大の課題は、住民生活をいかに継続させるかにあると強調し「企業、市民、行政が連携して災害対策とまちづくりの両面に取り組み、地域に人が残る仕組みを考えていく必要がある」と訴えた。
会場には簡易トイレの展示や、断水時のトイレの流し方を紹介するブースも設けられた。