徳島市の阿波踊りに4億円余りの累積赤字が生じたことを巡り、市が債権者として、市観光協会の破産開始決定を徳島地裁に求めた申し立ての第1回審尋が15日、徳島地裁であった。協会は徳島新聞社に2億円余りの債務負担を求めるなど、双方がそれぞれの意見を述べ、地裁は双方に追加資料の提出を求めた。
協会が提出した意見書は多額の累積赤字について複数の解消策を列挙。「共同で開催してきた徳島新聞社が金融機関への負債額の半額2億1800万円を支払う」「黒字の有料桟敷を継続し、赤字の無料桟敷は市に返上する」といった内容で、こうした解消策の実行で「税金を投入せずとも負債を解消できる」と主張した。
協会が所有する桟敷については「実勢価値次第では、(協会は)債務超過ではない」とし、市に破産開始申し立ての取り下げを求めている。
審尋後、協会の近藤宏章会長らが阿波おどり会館で記者会見。地裁から桟敷の価値を調べて追加資料として提出するよう求められたため、10日以内に提出する考えを示した。近藤会長は「(負債について)払えるめどは立ったが、今払えば(市に)一方で勝ち、一方で負けたことになる」と話した。
このほか、協会は今夏の阿波踊りを新たな実行委員会で主催すると発表した市に対し、主催方法などを尋ねる「求釈明書」を提出した。市は近く回答する方針。市経済部は「市民の負担を増やさぬよう、裁判所の関与の下で透明性を確保しながら債権回収を図りたい」としている。
◆徳島新聞社コメント 主催者の一員として累積赤字に対しては一定の責任があると感じている。損失補償をしている市が、市民の負担を最小限に抑えたいとしている点については、今後の阿波踊りの運営や振興も含めて、可能な限り協力していきたいと考えている。ただし、今回観光協会が地裁の審尋で訴えた、弊社への債務負担要請とは全く趣旨の異なるものです。