景勝地・千羽海崖の南西端に位置する外ノ牟井浜。小さな海蝕洞がある=美波町

 北に瀬戸内海、東に紀伊水道、南には太平洋が広がる徳島県。波静かな浜や荒々しい磯の連なりなど、多彩な海岸の光景に恵まれている。

 美波町の外ノ牟井浜を訪ねた。あまり知られた場所ではないかもしれない。それでも、弧を描く砂利の浜や、長年の波で岩に穴が開いた小さな海蝕洞もある美しい浜である。

 普段は静かな海岸で、浜辺に座って海を眺めるのに絶好の場所だ。撮影日は快晴ながらも台風が徐々に接近しており、うねりの大きな波が押し寄せていた。

 「ドォーン」。立ち上がった波が崩れる音がする。「ザァーッ」。浜の砂利がもまれる音も響く。かなりにぎやかだ。風波が立つほどではなかったものの、一定のパターンで大小の波がやってくる。

 大きい波が来ると、時折海蝕洞を抜け、浜へ打ち寄せる波と合流する。岩が波の上に浮かんでいるようだ。波が穏やかな日には見ることができない光景だろう。

 この浜には、かつて海を横切るロープウエーがあった。景勝地の千羽海崖の展望台と海岸を結んでいたが、1986年に廃止された。観光客でにぎわった光景は今は無く、釣り人や海を眺める人の姿をちらほらと見るくらいである。