徳島をテーマに全国公募した掌編小説コンクール「第2回徳島新聞 阿波しらさぎ文学賞」(徳島文学協会、徳島新聞社主催)で、大賞の阿波しらさぎ文学賞は佐川恭一さん(34)=大阪府=の「踊る阿呆」に決まった。39都道府県から426点の応募があり、最終選考に残った26点の中から選ばれた。
徳島県内在住者と徳島出身者を対象にした徳島新聞賞は、桐本千春さん(55)=徳島市中島田町1、看護職=の「胸をつらぬく」が受賞。25歳以下を対象とした徳島文学協会賞は、宮月中さん(25)=本名星野凜、徳島市南前川町5、徳島大大学院=の「いらっしゃいマンション」になった。宮月さんは2年連続の徳島文学協会賞。
阿波しらさぎ文学賞の「踊る阿呆」は、徳島出身の若者が主人公の青春ユーモア小説。生まれて初めての彼女をつくるために、サークルの宴会でハイブリッド阿波踊りを披露し、ダンス対決や友情が描かれる。佐川さんは「短い小説でどれくらいできるか、楽しみながら書いた。信じられないくらいうれしい」と喜んだ。
芥川賞作家で最終選考委員長を務めた吉村萬壱さんは「あざとくなく自然な感じで爆笑できる作品。面白さが最後までぶれず徹底していた。肩の凝らない内容ながら『自分とは何か』という哲学的なテーマも含まれ、ばかばかしい中にも真摯なものを感じた」と評価した。
最終選考は吉村さんと、徳島文学協会の佐々木義登会長(四国大教授)、徳島新聞社の岡本光雄編集局長の3人が当たった。
阿波しらさぎ文学賞には賞金30万円が贈られる。徳島新聞賞は10万円、徳島文学協会賞は3万円。
来月8日に表彰式とトークイベント
「第2回徳島新聞 阿波しらさぎ文学賞」の表彰式が9月8日午後2時から、徳島市の新聞放送会館で開かれる。
吉村さん、芥川賞作家の玄月さん、直木賞作家の角田光代さんと受賞者が受賞作について意見を交わす文学トークイベントも行われる。誰でも参加でき、無料だが、聴講券が必要。問い合わせは徳島新聞社事業部<電088(655)7331>(平日の午前9時半~午後5時半)。
24日から受賞作掲載 「踊る阿呆」と吉村萬壱さんの審査評は24日付、「胸をつらぬく」は25日付、「いらっしゃいマンション」は26日付の徳島新聞朝刊と徳島新聞電子版で、それぞれ掲載します。