農作物に害を及ぼすシカなどの有害鳥獣を駆除する三好市の捕獲員3人が、うその報告をして市から報償金計26万円を不正に得ていた。

 鳥獣被害は今も深刻な状態が続いている。公金から報償金を出して被害軽減を目指す仕組みに付け込んだ、断じて許されない行為である。

 不正を働いた3人は、駆除したシカやイノシシの個体の写真を偽造するなどして申請した。提出義務のある切り取った耳と尻尾は、報償金がもらえない期間に捕獲した個体の部位を冷凍保存しておき、虚偽申請時に使うという周到ぶりである。

 今年6月までの1年間に、シカとイノシシ計17頭の不正があった。このうち70代の男が大半の16頭分、24万円をだまし取っていた。計画的で悪質というほかない。

 鳥獣駆除を巡る不正受給は全国で相次いでいる。

 2年前には鹿児島県で、1頭の個体を別の場所や角度で撮影して捕獲数を水増しする手口が横行し、狩猟者29人が計252件、総額241万円を不正に受け取った。

 兵庫県でも2人が報償金の支払われない手段で捕獲した個体を、対象となる方法で捕まえたとうその申告をして44万円をだまし取っている。

 こうした不正が相次ぎ、農林水産省が注意を促していたにもかかわらず、なぜ防げなかったのか。

 不正続発を受けて農水省が2年前に行った全国一斉点検では、新たな不正は見つからなかったが、写真などを十分に確認していない自治体・団体が15%あったという。

 自治体や団体の審査に甘さや緩みがあるのは問題である。巧妙な手口を見抜くチェック体制を築いても、それを生かす意識を欠くようでは意味がない。報償金の原資は税金だという認識に立ち返る必要がある。

 農水省によると、2017年度の農作物の鳥獣被害額は164億円に上る。10年度から約3割減ったとはいえ、依然高い水準だ。

 徳島県の17年度被害額は1億1148万円で、9年連続で1億円を超えている。被害規模は大きく、報償金付きの捕獲事業に取り組んでいる三好市など15市町は、引き続き捕獲員らによる駆除に頼らざるを得ないだろう。

 新規の狩猟免許取得者は16年度に全国で約1万7千人と、10年間で倍増した。野生鳥獣肉「ジビエ」の需要が拡大し、ビジネスチャンスが広がっているのも影響しているとみられ、若者や「狩りガール」と呼ばれる女性の狩猟者も増えている。

 徳島大では、捕獲から加工商品開発までの「6次産業化」に取り組むサークルも活躍している。

 報償金の不正は、鳥獣被害対策に結びつくこうした新展開の勢いにも水を差す恐れがある。審査に関わる自治体や団体は、どんな小さな不正も見逃さないよう厳格にチェックしてもらいたい。