空席が目立つ自由席=8月13日、徳島市の南内町演舞場

2年ぶりに演舞場で行われた総踊り=8月12日、徳島市の紺屋町演舞場

台風接近で中止が決まり撤去される看板類=14日、徳島市の南内町演舞場

 台風10号の影響で14、15両日が中止となった徳島市の阿波踊りの事業収支が、9千万円~1億円程度の赤字と試算されていることが20日、運営実務を担ったキョードー東京など民間3社共同事業体への取材で分かった。赤字額は昨年の約3千万円から3倍以上に膨れ上がることになる。

 事業体によると、4日間のチケット販売枚数(前売りと12、13両日の当日券を含む)は約7万5千枚。総販売枚数を分母にした販売率は6割を切っており、運営を巡る混乱で大きく落ち込んだ昨年の69・0%をも下回っている。

 今夏は、台風で中止となった14、15両日のチケットの払い戻し分(30日まで受け付け)がここから差し引かれるため、最終的な販売率はさらに下がる見通し。チケットの払い戻し総額は4千万円程度になると見込まれる。

 事業支出の総額は、昨年の2億6917万円を3千万円以上上回る3億円余りと試算した。うち、演舞場の設営費用が半分近くを占めたという。設営面に関する費用のほか、昨夏はゼロだった運営スタッフの交通費や宿泊費といった人件費面での増加も響いた。

 踊り事業を主催する阿波おどり実行委員会の松原健士郎委員長は「事業体の働きを目の前でずっと見てきただけに、台風の影響で黒字化できなかったのは非常に残念。一方、民間委託したからこそ税金を投入せずに済んだ一面もあり、複雑な気持ちだ」と話した。

「聖域なき改革必要」事業体総責任者・前田氏

 今夏の徳島市の阿波踊り事業で多額の赤字が出ることについて、運営に当たった民間3社共同事業体の総責任者、前田三郎氏(キョードー東京取締役)は「来夏以降、聖域なき改革が必要になってくるかもしれない」と話している。

 前田氏は徳島新聞の取材に対し、「台風で2日間中止になったことで、赤字は9千万円から1億円の間になりそうだ」と明かした。

 事業支出のうち、演舞場の設営費用が大きなウエートを占めていることに触れ、「今夏は例年通り随意契約とした桟敷の設営業者や電飾業者などとの契約を、来夏以降は可能な限り入札方式にしてコストを下げたい」と述べた。

 民間委託の初年度となった今夏の踊り事業は、主催者となる阿波おどり実行委員会が演舞場の数や座席数、チケット料金など事業の枠組みを決め、民間事業体には枠組みを変える裁量がなかった。

 前田氏は来夏以降の運営について「4有料演舞場の座席数やチケットの価格、2部制の廃止なども考えていく必要がある」と訴えている。