[写真上]猪子寿之さん[同下]チームラボが作成したデジタルアート「人と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング-Infinity」

[写真上]猪子寿之さん[同下]チームラボが作成したデジタルアート「人と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング-Infinity」

 文化庁は8日、芸術各分野の優れた業績を表彰する2016年度芸術選奨の文部科学大臣新人賞に、デジタルアート集団「チームラボ」(東京)代表の猪子寿之さん(39)=徳島市出身=ら12人を選んだと発表した。文部科学大臣賞は映画「シン・ゴジラ」監督の庵野秀明さん(56)ら18人に贈る。14日に東京都内で贈呈式を開く。

 猪子さんは2001年、東京大工学部卒業と同時にチームラボを立ち上げ、約400人のクリエーターを率いて先進的なデジタルアート作品を生み出している。16年は米シリコンバレーで個展を成功させたり、シンガポールに初の常設展を設けたりするなど活躍の場を海外に広げている。

 近年は「境界をなくす」や「共創」をキーワードに体験型の作品を数多く発表。作品の一つ「人と共に踊る鯉(こい)によって描かれる水面のドローイング-Infinity」は、水面をスクリーンにコイの映像が映し出される。鑑賞者が水の中を歩くと、コイは鑑賞者の動きに合わせて泳ぐ方向を変え、無数の色鮮やかな光の軌跡を描く。

 文化庁は受賞理由について「猪子氏らの活動は美の概念を拡張させ、新たな感覚の世界を創出している」としている。

 猪子さんは「チームラボという集団による創造活動が評価され、名誉ある賞をいただけることを光栄に思う。今後も作品を通して人類の価値観を広げていきたい」と語った。県内でも頻繁に作品展を開いており「世界中で活動しつつ徳島でも多く活動できれば」と意欲をにじませた。