「じいじが迷子になっちゃった」

 徳島大出身のノンフィクション作家城戸久枝さん(43)=横浜市在住=が、初めての児童書「じいじが迷子になっちゃった あなたへと続く家族と戦争の物語」を出版した。中国残留孤児だった父・幹さんの半生を、子ども向けにかみ砕いてつづった物語となっている。

 大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した「あの戦争から遠く離れて」(2007年)を基に、子ども用に書き下ろした作品。文章量をおよそ6分の1にまで減らし、城戸さんが長男の弦君(8)に語りかけるような形で、親子の対話を挟みながら物語が進んでいく。

 終戦直後、家族とはぐれて中国にたった一人で残された3歳の少年。心優しい養母に育てられつつも、日本人であることによる生きづらさを実感する。日本に帰る決意をし、日本赤十字社に200通以上の手紙を送って生みの父母を探し出し、幾多の困難を乗り越えて帰国する。その後日本で城戸さんや弦君が誕生する「今」までの歴史をつづっている。

 弦君に「僕にも分かるようにじいじの話の本を書いて」と言われたところから、児童書として出版することを決めた。執筆しながら実際に弦君に読み聞かせ、弦君が分からない部分は何度も書き直しながら仕上げた。

 阿南市在住の絵本作家羽尻利門さんが表紙と挿絵を担当した。

 城戸さんは「この物語は私たち家族の話だけれども、みんな何代か前の人は戦争を経験している。この本が、家族の歴史や戦争について向き合って考えるきっかけになればうれしい」と話している。

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 「じいじが迷子になっちゃった」は偕成社刊。186ページ、1600円(税別)。