米国は過去に何度か、買収で領土を広げている。独立から30年とたたない1803年には、ナポレオンのフランスから、ルイジアナを購入した

 ルイジアナといっても、現在のニューオリンズ周辺だけでなく、北はカナダ国境も越える広大な地域。新大陸での植民地経営がうまくいかない上、欧州での戦争の資金調達にも迫られていた仏側の事情もあり、売却額は1500万ドルと、今となっては考えられない安値で譲渡された

 1867年にはロシアからアラスカを手に入れた。決定した国務長官の名をもじって「シュアードの冷蔵庫」と、当時は愚かな投資の象徴のように扱われたものの...

 その後、金鉱や油田が相次いで見つかったアラスカは、今や米国の安全保障上の拠点ともなっている。金額は720万ドル。こんな掘り出し物は二度とお目にかかれまい

 トランプ米大統領による世界最大の島・デンマーク領グリーンランド買収の提案が、波紋を広げている。確かに例がないわけではない。それでも、相手にされないとなると、へそを曲げ、予定していた訪問を中止した大統領はいただろうか

 「ばかげている」と言われたことが許せなかったらしい。「私にではなく、米国に対する言葉と見なす」と大見えを切ったものの、「ばかげてる」との表現が、いかにもしっくりくる振る舞いだ。