障害者スポーツの祭典、東京パラリンピックは、来年8月25日の開幕まで1年となった。障害の有無にかかわらず、全ての人が能力や個性を発揮できる「共生社会」の実現に向けて、機運を高め、しっかりと準備していかなければならない。

 パラリンピックは東京五輪終了後に同じ会場を使って22競技540種目が行われる。種目数は東京五輪より200以上も多く、参加者は史上最多の4400人が見込まれている。

 種目数が多いのは、障害の種類や程度によって細分化されているためだ。例えば、陸上のトラック種目では「知的障害」「視覚障害」などによって出場できる種目が異なる。細分化して出場条件を公平にすることで、競った戦いが期待できる。

 徳島県関係の選手もこれまでに好勝負を繰り広げた。

 前回のリオデジャネイロ大会は、視覚障害者の柔道で藤本聰と正木健人の両選手が銅メダルを獲得。藤本選手は四つ目、正木選手は二つ目の「金」とはならなかったが、存在感を示した。

 2人とも東京大会の出場を見据えている。今後、本格化する国内代表選考で出場権を得るのは容易ではないが、経験を武器にベストを尽くしてほしい。

 陸上では軽度の視覚障害がある髙井俊治選手が5000メートル、阿利美咲選手が知的障害の1500メートルで共に初出場を狙う。いずれも国内外の大会で好成績を残し、周囲の期待も高まっている。

 柔道や陸上といったメジャー競技とは違い、一般にはなじみの薄い競技もある。

 「ボッチャ」は脳性まひの選手が球を投げて的までの距離を競う。鈴が入ったボールを転がしてゴールを狙う視覚障害者の「ゴールボール」は、音への集中力と察知力が勝敗の鍵となる。

 リオデジャネイロ大会でこれらの競技の熱戦が報道され、関心を集めた。だが、普段の生活の中で障害者スポーツに触れ、スポーツにおける共生を考える機会が増えたかというと、まだ寂しい状況である。

 パラ競技の中には子どもから大人まで気軽に楽しめるものもある。県内各地にある総合型スポーツクラブで取り入れれば、障害者も交えてさまざまな人が交流できるのではないか。住民の参加を促し、広げていきたい。

 東京大会はパラスポーツの魅力を肌で感じる絶好の機会である。

 パラリンピックのチケット申し込みは22日に始まった。大会組織委員会は、全ての会場が満席となるよう、全国の小中高校や特別支援学校の児童、生徒向けの安価なチケットを用意している。ぜひ会場を訪れて声援を送ろう。

 障害を知り、競技のルールを勉強すれば会場での見方や楽しみ方は変わるはずである。共生社会実現の第一歩ともなろう。