徳島大学病院は19日、不整脈患者の心臓にカプセル型の超小型ペースメーカーを直接埋め込む手術を徳島県内で初めて行い、成功した。従来型と違って心臓に刺激を与えるためのリード線がなく、感染症のリスクが低減するという。
病院によると、超小型ペースメーカーは直径約7ミリ、長さ約26ミリ、重さ約2グラムで、従来型の10分の1程度の大きさ。太ももの付け根にある静脈からカテーテルを使って心臓に送り込み、右心室の壁に固定する。本体内部には電気回路や電池などが組み込まれていて、先端部分の電極から電気刺激を出して脈を補う。電池の寿命は約12年。
従来型は胸部の皮膚の下に本体を埋め込み、鎖骨下の静脈からリード線を心臓まで挿入し、電気刺激を与える仕組み。本体を埋め込んだ場所で細菌感染などの合併症を起こしたり、リード線が断線したりする事例があった。
超小型は、不整脈のうち、脈が遅くなって脳などに必要な血液が送れなくなる「徐脈性不整脈」の患者らが対象。病状などによっては、従来型が適している場合もある。
この日、手術を受けたのは徐脈性不整脈の一種「洞不全症候群」で入院している県内の70代男性。担当した同大学病院循環器内科の添木武准教授によると、術後の経過は順調だという。
添木准教授は「感染症など術後の問題を解消できるのは大きい。全ての不整脈患者には適用できないが、恩恵が受けられる患者には積極的に勧めたい」と話している。