文化審議会は10日、美波町日和佐浦の谷家住宅の主屋など4棟を国の登録有形文化財とするよう松野文部科学相に答申した。明治初期の歴史的景観をとどめている点が評価された。県内の国登録有形文化財は158件(65カ所)になる。
登録されるのは、木造2階建て延べ188平方メートルの主屋と、お産などに使われた産屋(さんや)(木造平屋約38平方メートル)、事務所として使われたミセ(同約19平方メートル)、門と塀(延長約46メートル)の4棟。いずれも1870年ごろの建造とみられる。
県教委によると、谷家は江戸末期~明治末期に回船問屋を営み、主に京阪神方面との交易で栄えた。主屋の床の間は壁一面にサンゴが埋め込まれ、障子には木材を精巧に組み合わせた指し物が施されるなど、内外装に趣向が凝らされ、当時の繁栄ぶりがうかがえる。
町は住宅を所有者から借り受け、町の歴史を伝承し、地域を活性化する拠点施設として活用することを検討している。