東日本大震災から6年を迎えた11日、徳島県内各地で南海トラフ巨大地震などの大規模災害に備えた訓練が行われた。参加した住民らは避難経路や救助方法を確認し、意識を高めた。
●小松島市
徳島赤十字ひのみね総合療育センター(中田町新開)で津波避難訓練があり、職員約90人が参加した。
大津波警報が発令されたとの想定で、1階にいる患者役の職員を1人ずつ簡易担架を使って2階に運んだ。2階では医師がけが人の治療に当たったほか、事務室に設けた災害対策本部に避難者数などを報告した。
中津忠則園長(66)は「南海トラフ巨大地震はいつ起こるか分からない。訓練を通じて不備な点を洗い出すとともに、落ち着いて対応できるようにしたい」と話した。
●鳴門市
大塚製薬工場(撫養町立岩)で南海トラフ巨大地震の津波を想定した避難訓練があり、同工場が避難場所になっている近くの住民約190人が自宅からの経路や所要時間を確認した。
市が防災行政無線などで高台への避難を呼び掛けた後、住民が続々と工場に集まり、高さ約12メートルの屋上に避難。防寒具や救急セットの保管場所を確認した。
和田津瑠星さん(13)=鳴門第二中1年=は「避難経路を選択するのに時間がかかった。訓練に参加することは大切だと思った」と話した。
●佐那河内村
大川原高原に整備されたヘリポートで、県消防防災航空隊と村、村消防団の30人による合同訓練があり、ヘリコプターの誘導方法を確認した。
消防団員は、ヘリが風下から進入してくることなどの注意点について航空隊員から説明を受けた後、機体を誘導する手信号を学んだ。県の消防防災ヘリ「うずしお」に実際に手信号を送り、ヘリポートに着陸させた。
村内の山中で、登山者が遭難したとの想定でも訓練を行った。
村消防団の岡山勝明団長(66)=同村上、建設業=は「訓練をヘリ要請時の迅速な対応につなげたい」と話した。
ヘリポートは、けが人や病人への対応、火災の消火活動や孤立集落発生時の後方支援の拠点として活用することを想定し1月に整備された。