身長181センチ、体重110キロ。道着に着替えると、輝かしい戦績を残した柔道家の風格が漂う。大阪府警察学校で柔道上席教師を務める。若手警察官の心と体を鍛え、第一線の現場へと送り出す重責を担う。

 北島中で柔道と出合った。部活動を見学すると「大きな体をあんなにも簡単に投げられるのか」と衝撃を受け、すぐに入部を決めた。「柔道は1対1の真剣勝負。小さい頃から勝負が好きで、こんなに楽しい競技はないと思った」。やってみると性に合っていた。めきめき上達し、1年後に初段を取った。

 隣町に強い相手がおり、刺激を受けた。全国中学大会の個人戦で優勝した藍住中の1年先輩だ。「一瞬の隙を突いて技をかける。とにかく動きが速く、柔道はスピードだと気付かせてくれた」。これを機に、ダッシュを繰り返したり、自転車のチューブを引っ張ったり、敏しょう性を高める練習を重視した。自分のスタイルの下地をつくった。

 鳴門第一高(現鳴門渦潮高)2年の時、東四国国体の少年男子団体戦で徳島の副将を務めた。地元開催で全国制覇を果たし、「周りからは奇跡と言われた」と笑う。

 東海大に進み、五輪金メダリストの山下泰裕さんに稽古を付けてもらった思い出が忘れられない。「全然動かず、木に技をかけているようだった」と振り返る。その偉大な恩師から掛けられた「とにかく前に出ろ。絶対に下がるな」との言葉は、柔術の極意として今も胸に刻んでいる。

 現役選手として柔道を続けようと府警に就職。2009年に引退し、指導者になった。「柔道で最も大切なのは礼法。相手の人格を尊重し、謙虚であれ」。府民から信頼される警察官を育てるため、この精神を伝えている。

 ひら・ともや 北島町出身。鳴門第一高、東海大卒。イタリアジュニア国際柔道大会(1994年)、全日本ジュニア体重別選手権大会(96年)、フランスジュニア国際柔道大会(97年)などで優勝。2000年に大阪府警に入り、16年から現職。大阪市在住。43歳。