徳島県出身者らで構成する半グレ集団が東京を拠点に複数の特殊詐欺に関与したとされる事件で、県警と警視庁の合同捜査本部は4日、詐欺と詐欺未遂の疑いで、松茂町豊岡、無職A容疑者(23)=詐欺未遂、暴力行為法違反罪で公判中=を再逮捕した。調べに対し、「間違いないです」と容疑を認めている。

 再逮捕容疑は、4月22、23の両日、大阪府枚方市南中振2、アルバイト従業員E被告(20)=詐欺罪などで公判中=や、大阪市阿倍野区、無職F被告(24)=同=らと共謀。架空の民事訴訟取り下げのための和解金名目などで、埼玉、神奈川両県の60~70代の男女2人から現金計1750万円を詐取したほか、板野郡の50代女性から450万円をだまし取ろうとして未遂に終わったとしている。

 県警によると、A容疑者は、数年前まで大阪市の半グレ集団で一緒に活動していたE、F両被告を勧誘。両被告に対し、現金の受け取り先のアパートを指示するなどした。

 板野郡の女性への詐欺未遂事件で県警に逮捕されたF被告の取り調べで、A容疑者の関与が浮上。A容疑者は別の特殊詐欺事件で5月に警視庁に逮捕され、6月には県出身の半グレメンバーらと共に暴力行為法違反容疑で再逮捕された。

 A容疑者は4日、拘留先の警視庁原宿署から徳島阿波おどり空港経由で徳島板野署に移送された。捜査本部は、被害者を欺く電話をかける「かけ子」などの別グループも事件に関与したとみて調べている。


 暴力団の「隠れみの」手足となり資金集める

 東京都内で違法行為を繰り返していた半グレ集団のメンバーA容疑者は、集団内で他の徳島県出身者と共に「徳島グループ」と呼ばれ、暴行や恐喝事件も起こしていた。取り締まりの強化で、表だって活動しにくい暴力団の手足となり、資金を稼いでいたとみられる。

 東京地裁での公判などによると、A容疑者は港区に本部を置く指定暴力団住吉会系飯倉睦会で「部屋住み」をしていた。同じ徳島グループのC被告(37)=暴力行為法違反の罪で公判中=は同会幹部の付き人で、行動を共にしていたようだ。

 捜査関係者によると、C被告と幹部は関東地方の刑務所で知り合った。出所後、C被告がA容疑者やB被告(38)=同=ら同郷の知人を東京に呼び寄せたという。幹部が詐欺グループのトップに立ち、C、B両被告が指示役として主導していた可能性があるとみている。

 A容疑者とC、B両被告らは1月ごろから、赤坂の繁華街などで飲食店関係者を脅して「みかじめ料」を徴収。集団の影響下にない飲食店の客引きに殴る蹴るの暴行を加えたとして、6月に県警と警視庁の合同捜査本部に逮捕された。

 警察庁は半グレを「準暴力団」と位置付けて取り締まりを強化しているものの、暴対法や暴力団排除条例が適用されないため実態が見えづらい。県警はA容疑者らが暴力団の「隠れみの」として暗躍していたとみて、資金の流れや詐欺組織の全容解明を目指す。