徳島県出身者らで構成する東京の半グレ集団による特殊詐欺事件で、詐欺と詐欺未遂の両罪で起訴された大阪市阿倍野区、無職の男(24)=保釈中=が6日、徳島地裁(佐藤洋介裁判官)であった判決公判に出廷せず、判決の言い渡しが延期された。弁護士によると、連絡が取れないという。地裁では3日にも保釈中の被告が公判に出廷せず、行方不明となっている。

 被告は開廷時刻の午後1時20分を過ぎても法廷に現れず、弁護士は裁判官に「待ち合わせ場所に来ず、電話もつながらない状態だ」と説明。弁護士が母親に連絡を取ると、「昨日家を出ており、徳島に行っているはずだ」と言い、所在は知らなかったという。判決公判は延期されたものの、次回期日は決まっていない。

 被告は、板野郡の女性から現金450万円をだまし取ろうとした詐欺未遂事件など3件で、現金を受け取る「受け子」として関わったとして起訴された。4月23日に現行犯逮捕され、6月25日に開かれた初公判の翌26日に保釈となった。8月9日の第2回公判には出廷し、全ての起訴内容を認めていた。

 地裁では今月3日にも、窃盗と建造物侵入の両罪に問われて判決の言い渡しが予定されていた被告が出廷せず、公判が延期されている。

 地裁総務課は「保釈については、裁判官が法に基づいて判断している。裁判所としてはコメントできない」との見解を示すにとどまっている。

地裁の保釈率上昇 背景に公判前手続き導入

 徳島地裁によると、管内で勾留された被告人のうち、保釈された割合を示す「保釈率」は近年、上昇傾向にある。過去10年をみると、2009~13年は平均20%で、14~18年は29%となっている。

 刑事訴訟法は、重罪に問われた場合や証拠隠滅の恐れがある場合などを除き、裁判所は保釈請求があれば許可しなければならないと規定。公判前に証拠を絞り込む公判前整理手続きが導入され、証拠隠滅の恐れが減ったことが保釈率上昇の背景にあるとみられる。

 一方で、保釈中に逃走したり、別の事件を起こしたりするケースは全国的に後を絶たない。6月には窃盗罪などで実刑が確定し、横浜地検が収容しようとした保釈中の男が逃走する事件が発生し、全国の注目を集めた。

 徳島県内では16年、阿南市の男が保釈中に量販店で商品を盗み、県警が逮捕。男は家宅捜索中に自宅から逃走し、さらに別の窃盗事件を起こした。14年には、保釈された阿南市の男が、自らが起こした暴行事件について警察に説明した女性をどう喝したとして証人等威迫容疑で逮捕された。

 地裁総務課は「保釈決定は裁判官が個別の事案を判断した結果であり、全体の増減についてコメントできない」としている。