那賀町議会の産業厚生委員会は17日の3月定例会議最終日に、猫の適正な飼育を求め、飼い猫以外への餌やりを原則禁止する「町ネコの愛護及び管理に関する条例」を提案する。動物愛護精神と地域の環境衛生の向上が目的。罰則規定はないが、違反者には町長が指導、勧告、命令を行う。動物の飼育について猫に限定した条例は県内になく、可決されれば初めて。

 15日の全員協議会で確認した。飼い主には▽屋外での放し飼いや遺棄の禁止▽排せつ物の処理▽名札の装着▽繁殖後の飼育が困難と予想される場合の不妊去勢手術の実施-などを求めている。

 自分が飼っていない猫に対しては「みだりに餌や水を与えてはならない」と規定。地域住民が餌やりやトイレの確保、不妊去勢手術などを行い、適正に管理している「地域猫」は対象外とした。4月1日から施行する。

 町議会が定期的に開いている住民との対話集会で、猫の飼育をめぐる近隣トラブルや野良猫の排せつ物などによる被害を訴える声が出たため、条例化を検討。ペットの飼い主の責任を明記した「県動物の愛護及び管理に関する条例」より細かな規定を設け、野良猫や他人が飼っている猫の扱いも盛り込んだ。

 県動物愛護管理センター(神山町)によると那賀町内の猫の殺処分数は2013年度21匹、14年度34匹、15年度39匹で、16年度は12月末時点で5匹となっている。