縄文から弥生時代に赤色顔料「水銀朱」を生産していた阿南市加茂町の加茂宮ノ前遺跡で、弥生時代中期末(約2千年前)の祭祀に使用したとみられる「銅剣形石製品」が出土した。瀬戸内地域で見られる「平形銅剣」を模して作られた石製品が見つかったのは全国初。畿内との強い結び付きも裏付けられたという。県と県埋蔵文化財センターが10日、発表した。

 銅剣型石製品は黒色の堆積岩製で、長さ24・1センチ、幅5・4センチ、厚さ1・4センチ。先端部分が欠損しており、重さ約120グラム。刃に当たる部分は真っすぐに整えられ、中ほどの両側にとげ状の突起を備える。遺跡東端の竪穴住居で見つかった。

 銅剣形石製品は畿内や瀬戸内などで約80点出土しており、多くが弥生時代中期中ごろに使われた細形か中細形の銅剣を模している。平形銅剣は時代が100年ほど新しくなるという。

 今回の出土品は、細形か中細形の形状だったものを、平形に作り直した形跡がある。銅剣型石製品は銅剣と同様に祭祀で使った後、山に埋めるなどして廃棄されたと考えられており、形を変えて再使用したことを示す全国初の例だという。

 県埋蔵文化財センターは、似通った石材の銅剣形石製品が多く出土する畿内で製造された可能性が高いとみており、「水銀朱の生産拠点だった加茂宮ノ前遺跡が、畿内と強い結び付きがあったことを示している」と分析している。

 14日から10月13日まで、板野町犬伏の県立埋蔵文化財総合センターの企画展で特別展示する。

 独自性が見える

 愛媛大学ミュージアム・吉田広准教授(考古学)の話 近畿との交流で得た銅剣形石製品を、瀬戸内で流行した平形銅剣をまねて再加工している。水銀朱という特産品を持ち、東西の文化が交わった徳島ならではの、独自性のある歴史像が出土品から見えてくる。