ビルの屋上に設置されているデビルマンの等身大フィギュア=徳島市八百屋町2

 多くの車が行き交う徳島市の八百屋町交差点。通りに面した5階建てビルの屋上へ視線を向けると、懐かしのアニメキャラクター「デビルマン」が目に入る。昨年10月からは大型の電子看板も設置しており、一風変わった動画を朝から夜まで流している。遊び心あふれる試みに興味を引かれ、目当てのビルを訪ねた。

 「徳島って交差点にデビルマンおるんや」「あれは誰だ、誰だ、誰だ」・・・。会員制交流サイト(SNS)には、徳島市内で見掛けたデビルマンの話題がちらほらと上がる。

 「どうしてこんなものが交差点に?」。見掛けた人が抱く疑問について、ビルのオーナー宮田晃一さん(58)=徳島市、ビル賃貸業=は「徳島で開かれている『マチ★アソビ』を盛り上げようと思ったんですよ」と笑う。

 フィギュアを設置したのは2013年7月。高さ約190センチで繊維強化プラスチック製、重さは約30キロだ。インターネットなどで販売されており、アニメキャラクターの表情や筋肉の質感などがしっかりと再現されている。

 デビルマンは1972~73年にテレビ放送されたアニメの主人公。エンディングで夕日を背にし、建設中のビルの鉄骨で腕を組み座っている場面をモチーフにした。「ビルのシンボルにするのに、イメージがぴったりだと思った」

 中心市街地に突如出現したデビルマンは、多くの人の目に触れ、話題を集めた。インターネットで「デビルマンのいる交差点」と検索すると、八百屋町交差点が示される。アニメファンならずとも知る人ぞ知る珍名所になった。

 宮田さんは「マチ★アソビには最近のアニメのコスプレを着たファンが大勢来る。オールドファンとしては、若者に昔のアニメのことも知ってほしかった」と話している。

 デビルマンの横に設置した電子看板も面白い。放映しているのは、宮田さんらが出演する短編映画だ。

 宮田さんは電子看板を新設した際、画面に流す動画コンテンツを検討。「人通りの多い場所で映像を流すなら、町おこしに役立てたい」と、地域に密着したものを流そうとした。

 しかし、都合の良い映像などなく、自前で用意することに。仕事で付き合いのあるグラフィックデザイナー藤本真紀さん(33)=徳島市=に声を掛け、昨年9月から短編映画の製作に取り掛かった。

 2人とも動画撮影は未経験。それでも、脚本、ロケ交渉、撮影、編集などを二人三脚で進めた。

 出演者も街中でスカウトしたり、知り合いに頼んだりして集めた演技の素人ばかりだ。主人公の女性は、「銀河鉄道999」のメーテルなど、アニメヒロインのコスプレ姿で登場する。宮田さんも自作のコスプレで撮影に臨んでいる。

 完成した作品は、往年の名作ドラマのパロディー「おれも男だ!」や、1989年が舞台の「恋と涙のプールカフェ」など約15本を数える。徳島駅や小松海岸などで撮影され、製作中の作品「吉野川の若大将」では、ウェイクボードで吉野川を滑走する様子が映し出される。

 いずれも宮田さんの経験を基にした1~3分のストーリー仕立てで、主人公からビンタや肩すかしを食らうコメディーになっている。

 映画には小売店や飲食店の様子を盛り込み、店舗のPRを兼ねる。宮田さんは「町おこしの一環として、商売している人を応援したい。宣伝を兼ねた動画のアイデアをどんどん持ち込んでほしい」と呼び掛けている。