ソメイヨシノに先んじて咲く。蜂須賀桜。東京都東大和市のナシ園の隅に植えたからか。10年で7メートル近くに育った。今年90歳になる宮崎貞文さんは「お殿様の桜」と呼ぶ。「畏敬の念もあります」

植樹の世話をしたのは小松島市出身の林雅彦さん(71)=東大和市湖畔。NPO法人「蜂須賀桜と武家屋敷の会」の会員だ。「今咲いているのはカワヅザクラですか」と聞かれると「いや四国徳島の蜂須賀桜です。歴史も古い」。この時季、繰り返される会話だという

江戸時代、徳島城御殿にあった桜。明治になって、最後の藩主・蜂須賀茂韶(もちあき)が大切にしていた1本が、徳島市の原田家住宅に移された。その原田家と縁続きになるという林さん

イタリア国内にあるバチカン市国での植樹に参加してから、桜、桜である。16日には東大和市内の42人を前に、桜をテーマに語った。徳島にゆかりのある桜に話が及ぶと、トーンは格段に上がるようだ

案内された湖畔緑地。蜂須賀桜が品よく咲いていた。「東大和市環境課 2015・2・16」の札に刻印された「蜂須賀桜」の文字もいい。「駐在さんが『咲きましたね』と言ってくれましてね」。愛(め)で、愛でられである

春の雪。きのう、林さんに様子をうかがうと―。「蜂須賀桜に雪がまといました。地面は真っ白。まさに撮りたい風景でしたよ」。