徳島科学技術高校(徳島市)の生徒が、規格外で出荷できない県南部の魚を使って開発していたレトルト食品8種類が完成した。未利用資源の活用や漁業者の所得向上が狙いで、長期保存できることから非常食への応用も提案している。商品化してくれる企業を探し、製造法を伝えていく考え。
レトルト食品は、クロアナゴとウツボの水煮と大和煮、シイラとマグロの油漬け、イワシとサバの水煮で、海洋総合コースの3年生7人が作った。高温・高圧で加工するため小骨まで軟らかく食べやすい。魚は海陽町の鞆浦、宍喰両漁協や美波町の日和佐町漁協が提供した。
7人はワカメを使った練り物などの開発実績を買われ、漁業者の所得向上に取り組む県立農林水産総合技術支援センター水産研究課美波庁舎(美波町)から昨年1月に依頼された。
缶詰より簡易包装で環境に優しく、長期保存できるレトルト食品に着目。味付けや切り身の大きさを変えて試作を重ね、完成させた。
センターによると、クロアナゴは県内で食べる習慣がない。その他の魚も、小さかったり、一定量の水揚げがなかったりすると出荷できない。レトルト食品にすることで資源を活用でき、消費拡大が期待できる。
開発班リーダーの井原卯捺(うなつ)さん(18)は「試行錯誤しておいしい食品ができた。県南部の漁業振興などに生かしてもらえれば」と期待している。