きょうは「敬老の日」である。本県の100歳以上は533人を数える。

 医療の進歩、食生活や公衆衛生の向上などにより、超長寿社会が実現したことは喜ばしい。

 一方で高齢化に絡む痛ましいニュースが少なくない。その一つが、自動車のアクセルとブレーキの踏み間違えが原因とみられる交通事故だ。

 誰しも年をとると、体力や視力が衰える。健康に不安を感じたら、運転免許証を自主返納することが望ましい。問題は、その後の「生活の足」をどう確保するかだ。

 県警によると、2018年の自主返納者は3082人で過去最高だった。

 今年は6月までで1791人と、昨年を上回るペースで返納されている。4月、母子が犠牲になった東京・池袋の事故が心理的に影響しているという。

 とはいえ、県内の公共交通機関は脆弱である。返納が高齢者の生活の質低下につながってはならない。

 近年、健康寿命を平均寿命に近づけることへの意識が高まってきた。介護に頼らず、いつまでも元気で生き生きしていたいと思うのは当然のことである。

 そのためには、生活習慣病の予防など健康に留意することはもちろん、積極的に社会参加し、日々、生きがいや喜びを感じながら暮らすことが大事だろう。

 だが遠出できず、買い物に行くこともままならないとなれば、食の偏りや低栄養を招きかねない。1人暮らしだと、孤独に陥ってしまうこともあろう。

 運転免許返納後の不自由をなくすため、過疎地の自治体などは、自主返納者らを対象に、さまざまな優遇措置を打ち出している。

 主なものは、運行するバスの運賃半額や割引、タクシー料金の一部助成などだ。バス会社も路線バスの運賃半額を実施している。料金を1割引きとするタクシー会社(個人を含む)も増えてきた。

 ただ、バスは本数が限られている。割引の区間やサービスの利用回数が限定されているケースも多い。

 求められるのは利便性の向上だ。そのためには鉄道、路線バス、貸し切りバス、コミュニティーバス、スクールバス、タクシー、福祉車両といった、あらゆる交通手段を柔軟に組み合わせることが欠かせない。国や県、市町村などは今、そうした方法を模索している。

 交通網の最適化が図られ、乗り継ぎや長距離移動が楽になれば、全体の利用者増も期待できよう。

 運行形態の抜本的な見直しによる交通機関の維持なくして、自主返納者を含む高齢者の足確保やサービス拡充はありえない。

 本県の高齢化率は33・1%に達している。3人に1人が高齢者である現実を直視し、地域の足を全員で支える意識を共有したい。