本紙暮らし面で連載中の「捨て犬・未来の物語」を欠かさず読んでいる。先週の第8回、保護されたばかりの犬の写真は、あまりにかわいそうで、正視できなかった。右目の周囲が切られて血みどろになっている

 主人公の雌犬「未来」は今、13歳。生後1カ月の頃に虐待を受け、捨てられた。愛護センターで処分される前日、保護ボランティアに救われたそうだ。児童文学作家今西乃子さんの所へはインターネットの”里親“募集サイトを通じてやってきた

 顔のけがのほか、右後ろ脚の足首から下を失い、左後ろ脚も、足の指が全部切り取られていた。深く傷ついた未来と心が通うようになるまでには、相当の気遣いが必要だっただろう

 今西さんは未来を相棒に、小学校で命の授業を行っている。こんな質問をするという。「みんなはどっちの人間になりたいですか? 誰かを傷付け、ぼろぼろにする人間? それとも、誰かを大切に幸せにできる人間?」

 子どもたちの答えは決まっている。でも大人になると忘れてしまうのか。同じ日の社会面、埼玉県川口市の少年が自殺した記事を読み、そう思った

 事情はあるにせよ、いじめを調査する市教委の第三者委は、少年が中学を卒業した3月以降は開かれていない。卒業を、厄介払いと読み替えた大人はいなかったか。そんな疑念が湧く。