中津峰山如意輪寺(徳島市多家良町)の国指定重要文化財「木造如意輪観音坐像(もくぞうにょいりんかんのんざぞう)」が22日、公益財団法人・美術院(京都市)での修復作業を終えて約10カ月ぶりに同寺の本堂に戻った。
修復作業は、京都国立博物館内の工房で美術院の技師が昨年5月に開始。主任技師の湯浅広司さん(63)によると、観音像や台座表面の金箔(きんぱく)や漆が剥がれた箇所に剥落止めなどを施して現状を維持し、傷みが激しい部分にはアクリル樹脂で補強した。
像は鎌倉時代後期(13~14世紀ごろ)の作とされ、ヒノキの寄木造りで高さは105センチ。今回の修復作業で、台座の中から竹筒(直径約3センチ、長さ約13センチ)が発見され、筒の中から、釈迦(しゃか)の遺骨とされる「舎利」6粒や舎利を包んでいたとみられる紙片などが見つかった。
如意輪寺の本堂ではこの日、湯浅さんら技師3人が、後光を表す「光背(こうはい)」や台座を置いた後、観音像を台座の上に慎重に安置した。4月28日に法要を営み、5月7日まで一般公開される。
山田弘乗住職(46)は「ご本尊が無事に戻ってこられ、ほっとした。ぜひ多くの人に拝んでもらいたい」と話している。
観音像は1911年に国宝(旧国宝)に指定され、50年の文化財保護法改正で国重要文化財となった。